何が正しいかなんか分からないけど



少なくともこれは間違ってると思う





彼女と彼と青空と
8*黒猫 「んー!!超幸せ!!」 「うん!本当においしいねー」 ヘイ! 今アタシは千代ちゃんとデート中なのであります! 近くの店によって一緒にパフェを食べている途中。 ちなみにアタシがチョコで千代ちゃんがイチゴ。 さっき一口ずつ交換したんだよ! 最初は飲み物注文しようと思ったんだけどパフェの誘惑には勝てなかった。 「チョコおいしい〜!  でも抹茶も捨てがたかったなぁ・・・」 「そーだねー。  じゃぁさぁ!また今度一緒に来ない?」 「来る来る!今度は別のやつにしよーっと」 たわいもない会話をして パフェを食べて そして時々笑う。 そんなことしてるとやっぱり 時間なんかあっという間に過ぎていくもので・・・ 「あっ!ゴメンちゃん・・・  そろそろ電車の時間だから帰るね!!」 「了解!じゃぁアタシも一緒に出るよ」 そういって立ち上がって会計を済ませるためにレジまで行く。 お金を払って外に出ると晴れていた空は曇っていた。 「雨・・・降りそうだね・・・」 「うん・・・お店はいるまでは晴れてたのに・・・」 「まぁ降らない内に帰ろう!」 「そーだね!じゃぁまた明日ねー」 「うん。バイバイーイ!」 手を振ってお互い反対方向に歩いていく。 歩きながら改めて空を見ても さっきと変わらない・・・どんよりとした空があった。 やだなぁ・・・雨・・・。 傘とか持ってきてないのに・・・。 しかもいつもは自転車なのに今日に限って歩きだし・・・。 はぁ・・・最悪・・・・・・。 まぁ早めに帰れば問題ないよね? 降っても傘買えばいいだけだもん! ニャー ? 今・・・ 何か鳴いた・・・? ニャー 猫・・・? 人の話し声や車の走る音にまぎれてかすかに聞こえた猫の鳴き声。 その声は小さかったけどアタシの耳に届くには十分な大きさだった。 何となく気になって声のするほうに向かって走ってみる。 「公園?」 たどり着いたところは公園で。 雨が降りそうなせいか子供は一人もいなかった。 静まり返った公園で猫といるはずのない人の声が響いていた。 不思議に思って公園に入ったアタシが一番最初にみたのは・・・ 男の人に蹴飛ばされている小さな黒猫だった。 「ちょっ!!!何してるんですか!!!」 そう言うと猫のところまで走っていって前に立ちふさがる。 男の人たちは初めはビックリしてたみたいだったけど アタシの行動を見てニヤリと見下したように笑った。 「はぁ?お前誰?」 「今はそんなこと聞いてるんじゃありません!!!  何してたのか聞いてるんです!!!」 「何ってみてわかんねぇ?ソイツ蹴ってたんだけど?」 「!!何でそんなこと・・・!!」 「ストレス解消てーの?俺たち最近イライラしててさー」 「そぉそぉ。ちょっと聞いてくれよー!俺たちさー・・・」 「帰ってください」 「はぁ?」 ストレス解消・・・? 何言ってんの・・・こいつら・・・。 自分のストレスが溜まったからってこんな事していいと本気で思ってるわけ? ふざけんな! 「帰ってくださいって言ったんです」 そういって睨みあげるとそれが気に入らなかったのか いきなり胸倉をつかまれた。 「お前さぁ・・・調子のんなよ?」 「調子乗ってるのはどっちですか?こんなことが許されるとでも?  ガキだってそれくらい区別できますよ。  あなたたち・・・相当頭弱いみたいですね」 「なっ!?テメェ!!!」 「殴るんですか?ならどうぞ。  ただし。  公園に入る前に警察に連絡しておいたので  捕まりたいなら・・・という条件付ですが」 「この女!!」 「おい!もぉ行こうぜ!!警察来る前にでていかねぇと!」 「チッ!テメェ!!今度あったら覚えとけよ!!!」  かっこ悪い捨て台詞を残してあいつらは走って出て行った。 はいはい。 どこの三流悪役芸人だよ・・・。 警察を呼んだのはうそだ。 だって入ってすぐに状況把握したのにだよ? それで警察なんか呼べるはずがない。 時間的に無理だ。 でもそれを信じて出て行ってくれたんだからラッキーだよね。 いや今はそんなことよりも猫だ。 振り向けば血を流して倒れている黒猫がいた。 毛が黒いからどこまで傷が酷いのか分からないけど 出血の分だとそう傷は酷くないだろう・・・。 外傷はだけど 「どうしよう・・・とりあえず病院・・・冷たっ!」 頬っぺたにしずくがあたる。 空を見上げるとどす黒い空から次々としずくが落ちてきた。 ―――――――雨だ 「うそっ!?こんな時に!?」 最悪だ・・・。 雨に濡れるとこの猫の体力が・・・! 急がないと! 猫の体を抱き上げて鞄の中に入れていたタオルで包む。 小さな体はタオルの中にすっぽり納まってしまうほどで少し震えていた・・・。 急がないと急がないと・・・・! その思いしかなくて気がつけば走り出していた。 走っているうちに雨は本格的なものに変わってあたしたちを襲った。 でも立ち止まれない・・・! 一分一秒も無駄には出来ないんだから!! 息がつらい お腹が痛い 足が疲れた でも走らなきゃ・・・! あっ・・・。 目の前から自転車で走ってくるのは・・・。 「阿部っ!!!」 「!?」 気づけば名前を読んでいた。 嫌いだとか・・・ムカツクだとか・・・ 今はそんなことどうでもよくて。 ただ助けて欲しかった。 「!?おまっ!何してんだ!?こんな雨の中!傘は!?」 「アンタだってもってないでしょ!  そんなことどうでもいいの!お願い!助けて!!」 「はっ?」 「理由はあとで説明するから・・・!  お願い・・・猫が死んじゃいそうなの・・・!」 「!!乗れ!!動物病院でいいな!?」 「っ!うん!!ありがとっ!」 自転車の後ろに乗って片手で阿部にしがみついた。 アタシが乗ったのを確認すると阿部はものすごいスピードで自転車をこぎ出した。 神様・・・お願いします! どうかこの子を助けてください!! back  next