いやいやまてまて
何の冗談だ・・・?
彼女と彼と青空と
27*お出かけ
「阿部様ありがとうございました!!!」
朝教室に入るなり、がそんなことを言ってきた。
俺は一瞬何のことか分からなかったけどすぐに理解する。
つまり・・・
「再テスト、合格だったんだな」
「YES!!!」
「これも阿部のおかげなのですよ!わはははは!」とか
いってるを無視して俺は自分の席に着く。
けどはそんなことを気にしていない様子で
俺の席の前まで小走りで来ると嬉しそうに笑った。
・・・・・・・・あー、もぉ。
好きって自覚するとこんなに違うもんなのかよ。
そんな人の気も知れずもう一度お礼を言うと
今度は自分の席に行ってカバンをあさりはじめた。
かと思うとすぐにこっちに戻ってきてまた笑う。
おいおいお前、後ろになんか隠してんの分かってるから。
というかなんか紙切れがちょっと見えてるから。
隠すんならちゃんと隠せこの阿呆。
「いやー!本当に阿部のおかげで助かった!」
「それはもぉいいから」
「あれ?そう?
まぁとにかく、アタシにつきっきりだった阿部君は
さぞお疲れに違いない!お疲れなんだろ?お疲れだよね?
よし、お疲れ決定!!!」
「それ人に聞く意味ないからな。
お前の自己完結だから・・・っておーい、聞いてるか?」
「そこでアタシは!お疲れの阿部君に何か癒しを!と思いましてね」
「いや、お前といる時点で全く癒されてねぇし」
「さっきからうるさいよ!!少し黙れ!!!」
え、俺が怒られんの?俺が悪いの?
「とりあえず、話しは最後まで聞くように!あーゆーOK!?」
「なら俺のツッコミいらずな話をするように!Are you OK?」
「発音いいのがむかつくなあんた!!!
どーせアタシは日本語もろくに話せない穴の中のモグラさ!!!」
「いいから話進めろよ・・・」
呆れた目で見ると、一瞬何かいいたそうな顔をしたが
埒が明かないと感じたのか、すぐに大人しくなった。
そうして軽く咳払いをすると、後ろに隠していたものを俺の机の上にスッとおいた。
それは最近CMでもよく流れているホラー映画のチケットで。
・・・・・・・・って?
は?
映画のチケット・・・?
いやいや、俺の分だけなら問題ない。
けど机に置かれたのは2枚だ。
何回数えても、増えることも減ることもない。
あー、あれですか。
友達といってこいよとかそういう感じのですか。
そのための2枚だろ?そーなんだろ?
俺の困惑しきった顔を見て満足したのか
は嬉しそうに話し出す。
「お疲れの阿部くんにお礼デース☆
明日休日だから一緒にこの映画見に行こうよ!」
「は・・・?誰と、誰がって・・・・・?」
「アタシと阿部で!!!
いやー、アタシなんかお礼がしたくてさー!」
「待て、ちょっと待て、何でよりにもよって映画なんだよ?」
「えっ、昨日悩んでたら泉がチケットくれたから」
あんのヤロウ!!!!!!
チケット持ってたのは偶然だとしても
渡したのはぜってぇ面白そうとか思ったからだろ!?
は!?てか、何!?
からかわれるてコトは、俺がのこと好きだってばれてんのか!?
あ゛−−−!もぉ畜生!!!
何かいろんな意味で泣きたい・・・!!
とりあえずOKの返事を出すとは集合時間を告げて
上機嫌で教室を出て行った。
後に残された俺は、ハッとなってチケットをみる。
そこには黒い背景に赤い文字でタイトルが書かれていて
蝋燭なんかがポツポツある。
あと、よく見たら黒い背景からうっすら手が伸びていた。
しかも何本も・・・。
・・・・正直これ持ってたら呪われそうだな。
そんなことを思いながら俺はカバンの中にチケットをしまった。
あれ?マジで明日映画いったりすんの?
「アイツ忘れてるだろ」
今日の待ち合わせ時間は10時と少し遅め。
いわく「早かったら寝坊するかもだし」らしい。
だからわざわざ10時にしたのに時間を過ぎてもアイツは来ない。
今で丁度30分が過ぎた。
おっせぇ!!!何アイツ!!俺ひょっとしてだまされたか?
携帯にメールしたけど返信返ってこねぇし・・・。
あー、もぉめんどくせぇから帰ろうか・・・。
気の短い俺が30分も耐えたんだから表彰ものだろ。
・・・・・・・やっぱ帰るか。
そう思って歩き出そうとした時だった。
「ごっ、ごめっ!阿部!」
むこうから走ってくるの姿が・・・。
・・・・・・つかお前サンダルなんだから走るなよ。
こけなかったのが奇跡だろ、お前の場合。
「おっせぇ!!!」
「ごっ、ごめんなさ・・・家出たのが、ゼーハーッ
10じ・・・ゲホッ、で・・・携帯とか、ゲホゴホッ!
みて、ゼェ、ハー、よゆう・・・なかっ・・・・・ウッ」
「いっ、いいから息整えろ・・・?
お前本気で死にそうだから!!大丈夫かマジで!」
「あっはは・・・大丈夫・・・で・・す!」
コイツ普段からどんだけ運動してねぇんだよ。
息きれすぎだっつの!
「ほっ、本当ごめん。
こういう時って何着ていったらいいかわからなくて・・・。
ちょっと考えてたら10時過ぎててさ・・・。
いやもぉバカすぎる理由で申し訳ない!
しかも悩んだ挙句がこれかよみたいなね!あははは・・・」
最後のほうは力なく笑うとは目をそらした。
多分コイツは何気なく言ったんだろうけど
俺にとってはその遅れてきた理由が・・・なんか嬉しい。
今のの服装はジーンズに下の方がひらひらなってる
白の・・・・トップスってやつか?
とりあえず、そんな格好。
いや、別にいいと思うけど?
「何言ってんだよ。
つかお前はそーいうシンプルな感じのが似合うし。
変に着飾ってくるよりはそっちの方がよっぽどいいって」
「あはは!ありがと!阿部は優しいなー」
「・・・あっそ・・・じゃぁ俺行くから」
「えぇ!?置いてきぼりですか!?待ち合わせた意味ないから!!
ちょ、待って!待ってください!!」
後ろから小走りで来るは無視して俺は先に歩き出す。
クソッ、調子狂う・・・!!
そのうちすぐにが追いついて隣並んだ。
あー・・・クラスのやつらに見られないといいけどな・・・。
なんて考えながら、俺たちは映画館に向かった。
少しだけ、この状況を嬉しく思ったりしながら・・・。
「あ!阿部!小腹へったからコンビニでおにぎり買いたい!」
「映画館まで我慢しろ!!!
というか小腹へったなら菓子をくえ!!米を食うな!!!」
・・・・・・・・さっそく今日一日が不安でたまらない。
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