いやいやいやいや



ないないないない





彼女と彼と青空と
21*無意識 次の日の朝。 阿部に「バカなマネしてないだろーな?」って睨まれました。 あっ、いや、本人は睨んでるつもり無かったらしいけど 迫力がね・・・・・・。 もちろんしてないよ!? 十分、危ないことだっていうのも アタシに魅力が無いこともわかってるからね!!! 「アタシも阿部ぐらいセクシーだったらなぁ・・・」 「待て、俺がいつセクシーだった」 「想像です、気にしないでください」 「想像でも人を勝手にセクシーにしないでください」 「花井も水谷もできるよ?見る?」 「いらねぇよ。  つかどーやって見せんだよ」 そこはこう・・・心の目で・・・ってアレ? これじゃぁただの阿部の妄想か? アタシってば、うっかりー! 変質者様はまだ捕まっていらっしゃらないようで・・・。 女子もここまで来ると警戒し始めてる。 一人で帰る子なんかあんまいなくなったしできる人は早めに下校するみたい。 そうそう、クラスの可愛い顔した男子も襲われそうになったんだって。 なんか女の子と間違えられたらしいよ。 あー・・・・・・強く生きろ?みたいな。 「俺男だもん・・・女じゃないもん・・・」と普段使わない “だもん”って言葉使ってたからショックは相当だろう。 まぁこの場合変質者のほうにも相当なダメージがありそうだけど。 そんな男子の肩を叩いて慰めたのは何日前だったか・・・。 そんな中アタシは特に危機感も無く のんびーりと毎日を過ごしているわけですが!! 「いいよね〜最近平和でさ」 「お前それ、被害にあったヤツらが聞いたらぶっ殺されるぞ」 「大丈夫、アタシ強いから」 「ほざけ」 なんて今日も適当なボケ・ツッコミ。 本当に、アタシこんな平和でいいのかななんて思えてくる。 あっ、でも言っとくけど本当あたし結構強いからね?うん。 阿部ぐらいになら勝てると思うよ!! いいのかな・・・それで・・・・・・。 「あーぁ!早く変な人なんか捕まればいいのにねぇ」 「そうなったら一番最初に捕まるのはお前だな」 「だまらっしゃい!!!!!」 ツッコミをいれてから思いっきり伸びをする。 そーいえばこれしたら身長縮むとか聞いた気がするな。 まぁアタシは信じてないけど・・・。 だって理屈が分からん!! 「あっ、そーだ。  どう?阿部、今日一緒に帰らない?」 「はぁ!?何でだよ!」 「いやぁ、今日千代ちゃんを駅まで送るんだけど  よかったらどーかなーと思って。  千代ちゃんを守る役目を!」 「は?女二人でかえんの?」 「うん、そーだよ?何か問題でも?」 「ありすぎてツッコミきれねぇ。  とりあえず俺今日先生に呼ばれてるから無理だな」 そういってため息をつく阿部。 眉間にはしわが寄っていて、何かを考えていそうだった。 ストレスたまってますなぁ・・・。 絶対カルシウム足りてないよこの人!! もっと牛乳のめ!!骨が全部牛乳でできるぐらい!! ・・・・・・・・・・・阿部すごく体が柔らかくなりそうだね☆ 「よしっ!!!」 パシンッ いきなり阿部が両手を合わせたから。 その音にビックリしてアタシは少しだけ肩が跳ねてしまった。 ババババババッキャロー!!気をつけやがれ!! 心臓が止まったらどうしてくれるんだ!!、お前絶対に人が多いところ通って帰れよ。  変なやつがいたら助けもとめろ。  暗いところには行くな。  それから・・・」 「阿部」 「あ?何だよ」 「・・・・・・何かお父さんみたいだよ?」 「・・・・・・」 「ごめんね、ちゃん、送ってもらうなんて」 「いやいや気にしないで!!!  千代ちゃん一人じゃ心配だし、それに今日だけだからね!  アタシは毎日でもいいけど!」 「アハハハハッ!そーだったら面白いけど  申し訳ないって!!」 そういって隣で笑う千代ちゃんかわえー・・・。 こんな可愛い子だったら襲われそうになるのも分かるなー。 いやいや、分かっちゃ駄目だ。 何言ってんだアタシ!!しっかり!! 今日は千代ちゃんの友達が一緒に帰れないからアタシがナイト役なの!! 野球部員が羨ましがるだろーねぇ。 今アタシはゲームの中のお姫様をさらう悪役の気分だった。 は?ナイト? そんな気持ちはとっくに捨て去りましたが何か問題でも? かといって野球部員がナイト?って聞かれたらすっごい微妙なんだけどね!! ほら、あいつらナイトって顔じゃないから。 なんて無駄なことを考えながらも アタシは千代ちゃんに怖い思いなんかさせないように そりゃもぉ機械が壊れたんじゃないかってぐらいマシンガントークで話した。 ウザイかな・・・?って思ったけど ちゃんと反応を返してくれる千代ちゃんは素敵だ!!いい人!! 「でねー!その時阿部がさぁ!!」 「あはは!ちゃん気づいてない?」 「え?・・・・・・何が?」 「ちゃんさっきから阿部君の話ばっかりだよ?  よっぽど阿部君が好きなんだね!」 阿部君が好きなんだね!阿部君が好きなんだね!阿部君が好きなんだね!阿部君が好きなんだね!(エコー) 「えぇ!? ちょっ!?千代ちゃん!!  何言ってるの!?アタシは別にそんなっ!」 「えー?本当にぃ?  その割には顔真っ赤だよ、ちゃん」 「!?ちっ・・・千代ちゃんのS−−−−!!   本当に違うから!あいつは本当にウザイだけでっ・・・!  そんな、好きなんかじゃっ・・・!!」 「うん、まぁそーいうことにしておこう!  それじゃぁ送ってくれてありがと!!  また明日ねー!気をつけて帰ってねー!」 「千代ちゃん!?」 そう言って駅の改札に消えていく物凄いスピードで消えていく 千代ちゃんの後姿を呆然と見送る。 顔が熱い・・・。 でもその熱を夜風が少しだけ冷やしてくれた。 そうして同時にアタシの意識を呼び戻す。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・帰ろう。 自転車に乗りながら、さほど遠くない道のりを走る。 もちろん阿部に言われた通り人がいるところを通って・・・・。 阿部ねぇ・・・。 千代ちゃんが変な事言うから変に意識しちゃうじゃんか。 ないんだけどね、そんなことは。 そーじゃなくって阿部とはよく言えばクラスメイト。 悪く言えば喧嘩相手であってそんな・・・好きとかそんなじゃ・・・ って・・・誰に言い訳してるんだ、アタシ。 家の前について、鞄から鍵を取り出してドアを開ける。 鍵がかかってるから当然家には誰もいない。 (どーせ親は仕事なんだよ!) その事に今日ばかりはほっとする。 頭がごちゃごちゃしなくていいね!!! 玄関の電気をつけて靴を脱ごうとして気がついた。 いいや、気づかされたというか・・・。 視界の端に飛び込んできたのは一輪の花。 その花を視界の端に捕らえながら固まる。   アレは何?−花です。 いつ買った花だ?−昨日の夕方かな。 何円ぐらいした?−250円。 いつ使うもの?−今日中でしょう、枯れるし。 よーし上出来だアタシ!!じゃぁ最終質問!!! あれは・・・・何に使う花?−猫のお墓に持っていく花。 「忘れてたあぁぁぁぁあぁぁあぁっ!!!!」 マッハで花を持って自転車に飛び乗る。 鞄は玄関に放り投げてきた。 うわぁ、すっかり忘れてた!!早くもって行かなきゃ!! アタシは意味の分からない奇声とともに暗闇に向けて走っていった。 ぽっかりと口を開けた暗闇がそこにあった。 back  next