少しざわつく図書館で



君を見つけた





彼女と彼と青空と
18*暇人 「やぁ!やっとるねぇ少年よ!!!」 「せめて少年達といえこのヒマ人。  何でお前がここにいるんだよ」 ・・・・・イヤン!そんなに見つめないでよ皆!! というか、何でお前がここにいるんだよ。ですって! 聞きました奥様!! 「いやぁ、照れるなぁ・・・。  そんなに阿部はアタシのことが気になるの?」 「よーし分かった今すぐ土に還れ」 おぉう!つっこみが冷ややかになったね阿部! そして早い!! コレは喜ぶべきことだよね? つっこみレヴェルが上がったんだから!! けどなんでだろう。 冷ややかなつっこみに涙が溢れ出しそうだよ!! 「あはは!話しそらさないで!  ほら、は何でここにいんの?」 「栄口はアタシがここにいることに反対・・・?」 「え!?いや、そんなことないって!!」 ほーらみてみろ、いてもいーってさ! なにが今すぐ土に還れだ! ばーか!ばーか! 阿部を横目で見ながら心の中で馬鹿を連発してみる。 そんなアタシに気づいてか (ヤバイ電波とばしすぎた!!) こっちをじろりとみる阿部様。 「何だその“みてみろ”といわんばかりの視線は」 「いや別に何も。  まぁアタシがここにいる理由を教えてやろうか?  フフフ、国家機密だぞ君たち」 「お前のプライベート行動が国家機密なら  この国は滅んだも同然だな」 「うるさい!畜生馬鹿にしやがってー!」 「うるさい、いいから早く来た理由を言え」 「うるさい返し!?  まぁ、パーセントで表すと99%がひやかしで  あとの1%が本を借りにきたって理由なんだけどね」 「もぉ本気でお前帰れ」 理由を話せって言ったのはそっちじゃないか! なんだよもぉ!酷いよねこの人は!!! アタシはそんな阿部の言葉を無視して泉の横の席を引いて座った。 阿部の斜め前だ。 仕方ないじゃんか!!!!ここしか空いてなかったんだよ!! まぁ阿部の隣じゃないからいいんだけどね。 泉も時々容赦ないんだよなー。 「泉何勉強してんのー?」 「英語」 「ふーん・・・あっ、ここ違うよ!」 「は?どこ?」 「これ、anyいれなきゃ。『any sisters』ね」 「ん、サンキュー!」 「いえいえ!」 野球ばっかで勉強してないのかな・・・? でも、結構あってるよね? ちょいミス? なんて思いながら本を読もうと視線を前に向けた時だった。 ・・・・・・・・・・何かほとんどの方がこっちを 見ていらっしゃるのは何故でしょうか? 「あの・・・なに?」 「あー、皆の気持ちを代表して俺が言う」 「?」 「お前勉強できたのか?」 「っ!!は・な・いぃぃぃぃぃっ!!」 「だって本当だろーが!?」 「アレはわかるよ!!!!」 「だから、それがビックリなんだって!!」 「!?」 あぁ、なんだもぉ泣きたいよ・・・。 アタシ本当にどんな印象があるんだろう・・・。 まぁ、これこの前プリントに出てたから たまたま出来ただけなんだけどね。 あいきゃんとすぴぃくいんぐりっしゅー! 「あぁ、泉ー!皆がいじめるよー!」 「悪い、  俺もちょっと思った」 「!?うぅ・・・なんだその裏切り。  でも泉好きだから許す・・・」 「コラそこー、さらっと告白しない」 「花井先生!告白は素晴らしいものだと思います!  素晴らしいことをして何が悪いのですか!?」 「だ、そうだ。水谷」 「なんで俺にふるの!?」 こらこら。 回答に困ったからって他の人にふらない。 水谷若干泣きそうじゃん。 まぁそれも楽しいけどね!! その後アタシは読書をし始めた。 一気に皆の声が遠ざかっていく。 さぁいざミステリーの世界へ!!! 「・・・い・・・・ぉぃっ・・・・お・いっ!!!!」 「クポーーーーーーー!?」 「なにその声!?」 「いや、阿部がいきなり大きな声出すからビックリして・・・」 「ビックリしたらお前はそんな声でんのかよ!  つか、もぉ帰るぞ」 「へ?今何時?」 「6時半」 うっそ・・・もぉそんなに時間たったの? 全然気がつかなかった。 そりゃ帰らなきゃですわな・・・。 アタシは今読んでた本を鞄の中に入れて立ち上がった。 夕方の図書館はあんまり人がいなくて イスをしまう音がやけに大きく聞こえた。 少し遠くでページをめくる音が聞こえる。 ん。いいねぇ・・・。 「ってあれ?皆は?」 「さっき帰った」 ふーんそっかぁ・・・。 さっき帰ったのかー・・・・って!! 「阿部は!?」 「ここに居ますが」 「分かってるよそんなことは!!!!  アタシが聞きたいのは何で阿部も帰らなかったの?ってこと!  皆帰っちゃったんでしょ!?」 「あぁ、押し付けられたからな」 「・・・・・・・・あのさぁ、もう少し優しい言葉ってない?」 「一人でかえるの危ないからな」とかさぁ。 そういう理由つけようよ。 押し付けられたって・・・・・。 じゃぁ押し付けられなかったらアンタはアタシを放って帰ったんかい!!!! って感じじゃんかー! 「ほら、ぐずぐずすんなよ。早く帰るぞ」 「あっ、はい・・・・・・えぇ?  阿部と帰るの?」 「・・・・・・・・嫌ならいい」 「いや!帰ります!!  一人超心細い!!  変態とか出たらマジ困る!!!」 「安心しろ、変態はお前だ」 「It's me!?」 せ・・・切ない!!!! そう言われて、ちょっと事実だけどなんて思ってる自分が いるってことが物凄く切ない!!! あーでもいいや。 うん、アタシもぉ変態でいい。 変態ロードを一人で突っ走っとくよ、ハハン☆ アタシが自分のキモさにしぼんでるのを見て 阿部は何を勘違いしたか知らないけど 少し気まずそうにこっちをチラッと見たあと 背中を向けて頭をかきながらいった。 (そのせいで髪の毛はくしゃくしゃだ) 「あー、ウソだよ  最近マジでお前みたいな変なやるがでるらしいだろ?  一応お前女なんだから、あぶねぇって」   「一言も二言も多いね君は。でもまぁ・・・」 「?」 「ありがとね」 「・・・・・・・・・・・・・別に」 後姿で顔は見えなかったけど耳が赤くなってるのがはっきりと分かった。 プププ、おっもしろー! 「あー、阿部照れてる?」 「照れてない!!!  ほら!!置いてくぞ!」 「いやーだ!置いてくな!!  ほら、守れよテメェ」 「何でそんなにえらそうなのかがわかんねぇ」 自転車なのにわざわざ送るとか・・・。 案外こいつも紳士なんだねぇ。 なんて思ったりして。 その日の帰り道は心なしか本の少しだけ心強かった。 back  next