朝からいい運動してますなぁ



・・・・・・アタシが





彼女と彼と青空と
16*パシリ 「いえ本当に出来心といいますか、冒険心といいますか・・・。  非常にやってみたいなぁという衝動に駆られまして・・・  やってみたら意外に面白くてですね・・・  でも後がやばいなーと感じたので  目の前の現実から逃げたといいましょうか・・・」 「へぇ?で?」 「いや、あの本当に昨日は蹴ってしまって申し訳なかったですスミマセン」 ハァイ☆さっきから皆がクラスに入ってくるたびに 一瞬ビクっていくのはもう気にしていません。 そりゃアタシだって朝からこんな光景を見たらビクりますから・・・。 「あの・・・スミマセン阿部様・・・」 「何?」 「私めはいつまでこうしておけば良いのでしょうか?」 今のアタシの体制はLet's 土下座☆。 そうしてアタシの前にはイスに足を組んで座ってる阿部。 机には片肘を突いてこちらを見下していらっしゃる・・・。 周りの人の目がものすごく痛いよ!!! 助けてママン!!! 「お前が勝手に土下座したんだよな?」 「はい・・・でもしなければならない雰囲気だったように感じるんですが・・・」 「気のせいだろ」 「え?では、もう頭を上げても良いのですか?」 期待を込めて言うと阿部が少しため息をついて「別に・・・」と言った。 やっと開放された喜びでアタシは勢いよく顔を上げる。 「阿部様・・・っ!!・・・・って何これ」 「財布」 「・・・・・・・・くれるの?」 「誰がやるかアホ!!SHRまでにジュース買ってこれたら  昨日の事はなしにしてやるよ」 「パ・シ・リ!?  というか無理無理無理!!!あと3分じゃん!!  ラーメンできちゃう!!」 「ラーメンが出来るからって作るわけでもないけどな。  ほら、こうしてる間にも時間なくなるぞ」 「くっ・・・・・・・鬼タレ目」 「何かいったか?」 「イエナニモ。喜んで逝かせていただきます!!」 字に間違いはないよ!!うん!! アタシは奪うように財布を取ってもう誰もいない廊下へと飛び出した。 よっしゃぁ!! これならギリギリ間に合うかもしれない!! 後は階段を上がって角を曲がりさえすれば!! アタシはいつもなら2段飛ばしで上がる階段を 今日に限って3段飛ばしで上がっていた。 「廊下は走るな」 「グッ・・・!」 あと一飛びで階段を上りきるというときに フードを後ろから引っ張られた。 やばっ!?落ちる!?と思ったけど 後ろに少し傾いただけで背中で何かが支えになっていた。 誰だゴラァ!!と振り向くとそこには 毎度おなじみ担任の顔・・・ってまたアンタか!! 「コッラァ担任!!普通階段駆け上がってる人間のフード  下から引っ張るか!?落ちたらどーすんのさ!?」 「安心しろ。埋めてやる」 「激しくデジャヴ!!!」 キーンコーンカーンコーン 「ギャーーーーー!!鳴ったアァァァァァァッ!!」 「鳴ったな」 「鳴ったな。じゃねぇ!!!どーしてくれるのさ!?  こんな所でコントしてる場合じゃなかったのに!!」 「へぇ、コントねぇ。一人でか?」 「あんたとだよ!!!!」 どれだけ寂しい子なんだアタシは!! 反撃したい衝動をぐぐっと抑える。 落ち着け ここはアタシが大人にならなくっちゃ・・・。 そうして自分を押さえている間に 担任は教室に入ってSHRをはじめやがった。 悪魔としか言いようがないなこの人は・・・!! 「ほらよ、アンタに似合わないイチゴオレ買って来てやったぞ。  ついでにアタシの分も」 「あぁ、サンキュ。  何でそんなものかって来るんだとか  お前人の金で何自分のまで買ってんだよとか  色々言いたいけどな」 「いやぁ、それほどでも?」 「褒めてない」 「・・・・・・」 実は内心ひやひやです。 ジュースは買った。 でも・・・でも・・・・・・っ!! 「で?」 ビクッ 「ナンデショウカ?」 「SHRまでに買ってくるっつーのはどーなったか  ちゃんと教えてくれるよな?」 あぁ!!笑顔がまぶしい!!まぶしいよ!! そんな爽やかな笑顔でこっちを見ないでくれ!! 目が潰れてしまう!! 君の笑顔は私の目まで溶かしてしまいそうなの・・・ ってかぁ!? やっべ、アタシ超うまくない!? 「なぁ・・・」 「はい?」 「声に出てるぞ」 「・・・・・・・・・・・・・・・・てへっ☆?」 「胸糞ワリィ」 「むっ、胸糞悪いーーーーーー!?  キモイは沢山言われたけど胸糞悪いは初めて言われたよ!!  なんだ胸糞悪いって!!  せめてキモイと言ってくれ!!」 いや、キモイっていわれるのも嫌だけど!! 本当胸糞悪いなんていわれたのはじめてさ!! そこまでアタシはあなたの気分を害しましたか!? 「じゃなくって!!理由を聞いて!!」 「・・・・・・」 「ちゃんと間に合うはずだったんだよ!?  だけど階段の途中で担任に足止めくらったの!!  で、ちょっとコントしてたらキーンコーンカーンコーンだよ!  酷いよねチャイムって無常だよね!  だからチャイムと教師が悪いんであってアタシは決して・・・  ってちょっと、阿部?ちゃんと聞いてんの?」 ずっと下を向いたままの阿部に向かって言っても 反応はなくって、ただ・・・震えていた。 え?ちょっ、阿部どーしたっていうのさ・・・? 「阿部・・・?」 さすがにちょっと心配になって阿部の肩を触ろうとしたときだった。 「ククッ・・・」 「・・・・・・は?」 あのー・・・今聞こえたのってひょっとして・・・? 「あのさ・・・阿部。  もしかしなくても・・・・・・笑ってる?」 そういうと阿部は顔を上げて 机に肘を突きながら、押さえるようにのどで笑った。 アタシは何で阿部が笑ってるかわからなくって ただただ呆然とするだけだった。 その時のアタシの顔はいつもより酷かっただろうね! 「だって・・・おまっ・・・めちゃくちゃ必死に言い訳してっ。  ジェスチャーとか・・・クッ・・・面白っククッ」 「なっ!?だってアレは阿部が怒るかと思って・・・!」 笑われたのが少し恥ずかしくって 必死に言い訳をしようとすると阿部はこっちを向いた。 ・・・・・・どうやらまだ笑いは治まらないらしい。 「ま、廊下でアレだけでかい声で騒げば分かるからな。  仕方ないから許してやるよ」 ドキンッ 「阿部・・・」 「んぁ?」 「笑顔キレーだねぇ・・・」 「はっ!?」 「もう一回笑って!!もう一回!!」 「いーやーだー!!寄るなボケッ!!」 いや、本当にキレイだったんだよ!? 思わずドキンってなっちゃったよ! ・・・・・・・・何でアタシ阿部の笑顔でドキン? キレイだったから? よくわかんないけどまぁいっか!! アタシが笑えって迫るとほっぺたを ぐいぐい押されてつきかえされる。 いだだだだだっ!ほっぺた痛い!! 後から水谷に聞いた話だけど、この場面は アタシが阿部を襲ってるふうに見えたらしい。 失礼な!!こんなやつ襲わないよ!! 仕方なく自分の席について、阿部のお金で買ったジュースを鞄の中に入れる。 鞄の中は女の子にないぐちゃぐちゃさで あぁ、いい加減整理しないとなーなんて思った。 中に入ってる鏡が割れたら大変だもの!! 「、お前何でジュース2つも持ってんの?」 「え?やだなー阿部!  一つは自分で買ったジュースだから気にしないで!」 「俺的にはどっちも自分の金で買って欲しかったけどな」 「交通費だよコレ」 「ジュース買いに行くのにどこまで行くつもりだお前は!!  交通費なんかかかってないだろ!!」 「なんていうか体力的に?」 「もぉお前帰れ」 はぁとため息を着いた後に阿部は 「お前と話してると話がそれるから嫌なんだよ」って言った。 「いや、一つは三橋にあげようと思ってね!」 「は?三橋・・・って何であいつに?」 「はい?何でって今日は・・・・・・。  あー、そっかぁ・・・阿部は知らないんだ?」 三橋の誕生日だってこと。 それを言わずにわざとニヤニヤした顔で相手を見ると 向こうはそれに対してムッとした顔になった。 目が早く言えって言ってるけどアタシは言わない。 だって・・・その方が面白そうじゃない? 「まぁ自分で考えなよ!  真実は自分でつかむものだよ阿部君!!」 「うっざ!  お前が言うとどんな言い台詞もうさんくさく  聞こえるから不思議だよな」 「なにそのスキル!?  そんなスキル持ってないってかいらねぇ!!」 もぉ怒った! 絶対教えてやらない!!! 考え続けてそのまま知恵熱出せ!! ちょうどそのとき本鈴が鳴ったから二人とも前を向いた。 さぁ!早く気づけよ無知なる捕手よ!! アタシは心の中で高笑いをしつつ だんだんといつもの様に眠りの中に落ちていった。 back  next