本当にそんなつもりはなかったんです
はいすいませんでした!!
彼女と彼と青空と
14*準備室
「花井ーーー!」
「ん?」
「今日から部活休みだって知ってたー!?」
「あたりまえだろ!?」
「うっそ!?アタシ知らなかったんですけどー!!」
「おいマネジ!!!」
と言うわけで今日から部活が休みなのであります!!
理由はテスト1週間前だから!!
そーか・・・もぉテストはそんなに間近なのか・・・。
アタシなんかテストの日にちすら知らなかったからね!うん!
「うーん・・・じゃぁ今日は帰ったらアイス食べて寝よう」
「ちょっと待て。お前勉強は?」
「前日いっとけ☆」
「はぁ!?」
親指を前に突き出すと花井は「ありえない」って顔をした。
大丈夫だって!
だってアタシ前日以外勉強したことないからね!
今までの経験を生かせば大丈夫なはず!!
頑張れ!!アタシの未来は明るいぞ!!
「てなわけで花井、今日一緒に帰ろう!!」
「何で!?」
「え?帰る方向一緒じゃん」
「帰る方向は一緒でもお前は今日すぐには帰れないぞ?」
ギギギと効果音がつきそうな動きで後ろを振り向くと
そこにはにっこりと笑顔が素敵な担任様が。
ひぃっ!!何か怖いよこの人!!
「げっ!?笑顔魔王!!」
「ほー?担任に向ってその口の聞き方は何だ?」
「あだだだだだだっ!!
ごごごごめんらはい!!(ごめんなさい)
ほっへた(ほっぺた)ひっぱらないで!!」
「あの・・・先生・・・コイツまた何かしたんっすか?」
またとは失礼だな花井君!!
私は今日は何もしていないと思うぞ!!
というか本当にほっぺた痛い!!!何て馬鹿力だ!!
とれる!ほっぺの肉がとれるーーーーー・・・・あぁ・・・それでもいいかも。
肉を減らしてくれ担任よ!
「忘れたのか?花井?」
「あっ・・・いえ・・・すいません」
「いやいい。こいつは覚えてないみたいだから説明してやる。
いーか!よく聞け!」
「はひっ!?」
「お前は今日の俺の授業中爆睡したあげく
起こしにかかった俺の脛を寝言の「エルボー!!」という言葉と共に
蹴り上げたんだ!!分かったかこの馬鹿!!」
「ひゃい(はい)!!ごめんらはい(ごめんなさい)!!」
「そもそもエルボーは足技じゃないぞ!?」
「ひゃい(はい)!しょうひひへおりまふ(承知しております)!!」
アタシってばそんなことしてたのか!?
フッ・・・・腕をあげたな。
寝ていたとはいえ担任に蹴りを入れれたんだ。
あっ。何か今ちょっとスッキリした気分になった!!
でも相変わらずほっぺたは痛いです!!
と思ってたらやっとほっぺたが開放された。
やった!!生き残った!!アタシ生き残ったであります軍曹!
よーしよくやった!!そのまま無事帰還せよ!
らじゃー!!というわけで今だ!!ダッシュで帰るぞ!!
「どこ行くつもりだコラ」
「ぐえっ!?」
と・・・逃亡失敗!!逃亡失敗!!
魔王に襟首をつかまれたであります!!
何てことをしてくれたんだ!!思わず乙女にあるまじき声が出たじゃないか!
これじゃカエルがつぶされた時と同じ声だよ!
いや!聞いたことないんだけども!!
「えぇい離せ!!軍曹が帰ってこいとの命令だ!!」
「ならお前の軍曹は今俺がつぶした。
これで帰らなくていいだろう?さぁいくぞ」
「いーやぁあぁぁぁぁあああぁぁっ!!」
どこかほっとした顔で何事もなかったかのように
帰る準備をしていた花井が恨めしかったです!
畜生!!あいつ覚えてろー!!
「じゃぁここの掃除が終わったら帰れ」
「はーいてぃーちゃー!しつもーん!」
「何だ?」
「いつ終わるんですかこれぇぇぇぇっ!!」
掃除命令が出されたのは社会科準備室。
ぶっちゃけいうと汚い。
なんていうか・・・・・・ハウスダストがまい上がる。
これかなりやばいよ!本とかちゃんと片付けようよー!
「まぁ俺も鬼じゃない」
「へ?」
「特別に掃除場所を限定してやる」
「本当に!?好き好きてぃーちゃー大好き!!」
「とりあえず本棚の整理とあとこの教室のほこりを無くせ」
「やっぱあんたなんか大嫌いだ!!!!」
それでも多いよ!!
それってこの教室の4分の2・・・つまり半分しろって事?
いやー!だから鬼なんだよこ人は!!
するといきなり肩に手が置かれて窓の方を向かされた。
え?何ですか?
「安心しろ。窓からは中庭が見える」
「だからなんだよ!!!」
自然見て気持ちを落ち着かせろと!?
あーもぉわけが分からないこの人は!!絶対今度泣かす!!
・・・・・・・・そうしたら逆に泣かされるんだろうな!
私には崖しかないのか・・・。
担任は「じゃぁ頑張れよ」と気休めにもならない言葉を無責任に残して
教室から姿を消した。
・・・・・・・・やりますか。
「うわぁー!何だこのほこりは!ありえないっしょ!
すっごい教室中がほこりでゴホッ!!ゴホッ!!ゴホンッ!!」
むせる・・・・!
こんな中にいたらアタシは死んでしまうんじゃないだろうか?
肺にほこりがたまって死んじゃうよ!!
そうなったら化けてでてやる!!
覚えとけよ鬼担任!!
「やっばい・・・!窓開けるの忘れてたっ!!
シャバの空気をくれー!」
何とか窓まで行って一気に開けるとほこりがぶわっと出て行くのが見えた。
ふはははは!!いいぞ!!
その調子で宇宙なり太陽なり行ってしまえー!
と窓からその様子を見ていたら向こうから人が歩いてくるのが分かった。
んー?あれは阿部・・・・・・と女子?
だれだっけあれ・・・・あっ!
この間アタシに弁当渡してきた子だ!!
て・・・え!?ひょっとしてこっちに来る!?
「で?何?」
うわわっ!とっさにしゃがんだけど何でアタシ隠れるんだ!?
まぁ人間として当然の反応と言うことで!!
というか何もこんな近くで話さなくてもいいじゃんかー!
聞こえるよ!?いーの!?
「あの・・・お弁当・・・食べてもらえましたか?」
「あぁ。あれアンタが作ったんだ?全部食べたけど?」
「ほっ・・・本当に!?よかったー。
で・・・あの・・・」
「?」
「わ・・・私と付き合ってもらえませんか!」
ワォ☆告白だぁー・・・・。
ゴメンよ誰か知らない女子・・・。
人が居ない時を狙って人が居ない所に連れて来たんだろうけど
生憎ですが壁はさんだ向こうにアタシがいました!!
いや!本当にごめんなさい!!!
でも阿部は何て返すのかな・・・?
いいぜ!俺ら二人で青春をエンジョイしようぜ!!とか?
・・・・・・・・・・・ブフッ!
駄目だ笑うな!!声を出したらここにいる事がばれるぞ!!
「悪いけど・・・付き合えない」
「・・・・・えっとそれは・・・・好きな人がいるから?」
「そーじゃないけど・・・・」
「だったらっ!好きになるためにでいいから付き合って!」
えぇー!?
いいの!?それって!というかそんなことじゃ続かないんじゃ・・・・。
「ごめん。やっぱ付き合えない・・・。
俺はアンタのことよく知らないし、好きじゃないんだ。
そーいう気持ちがないに付き合うのは・・・俺はできない」
・・・・・・・・・へぇー
「わかった・・・ごっ・・・ごめんね?
こんな事言って・・・っ」
「いや・・・」
「じゃぁ・・・ありがとう。・・・バイバイ!」
パタパタという足音で相手が帰ったんだって分かった。
そのあとしばらく経ってから阿部がため息をついて歩き出した。
アタシは阿部が行ったのを窓からのぞいて確認した後
その場に勢いよくへたれこんだ。
あー!緊張したー!でもばれなくてよかったー!
ばれたら殺されてたよ!!
・・・・・・阿部ってあーやってちゃんと断るんだー・・・。
ふーん・・・ちょっと想像してなかったなーそれは。
ギュッ
アタシは一回だけ箒をきつく握ってから立ち上がった。
さー!掃除だ掃除!!
早くやらないとマジで帰れませんから!!キャー!
その自分の動作にアタシは気づかずにいた。
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