お前の行動の一つ一つに
何か意味はあるんでしょーかねぇ?
彼女と彼と青空と
13*弁当
なんだったんだ・・・?
冗談で呼ばれた名前。
それを聞いた瞬間何かすっげぇ恥ずかしくなって思わず早足で歩いた。
あいつはそれを怒ったと勘違いしたみたいだけど・・・。
「なぁ花井」
「ん?」
「名前呼ばれて恥ずかしいって・・・何だ?」
「は?」
相当間抜けな顔してるなコイツ・・・。
「は?ってなんだよ?」
「いや・・・阿部・・・お前もしかして鈍かったり?」
「ない。絶対ない」
「じゃぁのことどう思ってんのー?」
これは水谷だ。
こいつに言われるのは何かしゃくだけど素直に答えることにする。
いや・・・どうって言われても。
視線を隣の席に移すと涎がたれそうな勢いで寝ている
自習の時間を利用して今はすっかり夢の中らしい。
「馬鹿」
視線を二人に戻してキッパリと答える。
その答えが気に入らなかったのか・・・
予想外だったのかは分からないけど二人にはため息をつかれた。
ってなんだよ!
言いたいことがあるならはっきり言え!!
「あのな阿部・・・そーじゃなくて・・・」
「ミミズとたい焼きのダンスヒャッホォィヤー!!!」
ビクッ!!
いきなりの大声にびっくりして横を見るとそこには涎をたらして寝ている。
はぁ!?
寝言か!?さっきのは寝言なのか!?
キッモッ!!!
コイツどんな夢みてんだよ!!!
つかミミズとたい焼きのダンスって何!?
ポンッと肩に手が乗る。
その手をたどると主はどうやら花井のようだ。
そうしてうんざりしたような口調+ため息をつけて言った。
「悪い阿部・・・お前が正しい」
「だろ?」
「あべーあべあべあべあべあべー」
「だーっ!うっせぇ!!
人の名前連呼すんな!!!」
「いや、阿部はひょっとしたら自分の名前を理解していないのではと思いましてな!
親切心ゆえですよフォッフォッフォ」
「いらない親切心をどーも
お前の中で俺はどれだけ頭の弱い子だっつの!!」
髭もないくせにフォッフォッフォッという笑い声にあわせて
髭を撫でるふりをするコイツはやっぱり馬鹿だろう。
というか今は昼休みだ。
コイツ弁当食べに行かないのか?
いつもなら「お待たせマイハニー!v」とかって叫びながら
篠岡のところに行くのにな・・・。
そんなことを考えているとが俺の机を覗き込んでくる。
そうして何かを確認した後ニマーっと笑った。
その笑みは相変わらず気持ち悪い。
「あららー?阿部君今日はパンと牛乳なんですかー?
高校男児たるものそんなもので足りるのでしょうかねー」
「ほっとけよ。今日はたまたまだ」
「そんな阿部君にBIGなプレゼンツ!
じゃーん!お弁当であります!!」
そういって差し出されたのは青い紙袋に入った弁当。
それを誇らしげに差し出す
花井と水谷は小さく「え?」と呟いた。
俺だって心境は同じだっつーの。
牛乳を飲みながら紙袋を受け取ると訝しげにを見た。
「何これ?お前が作ったの?」
「ううん。何か知らない女子に渡してって言われた!」
「それでお前が誇らしそうにする意味が分かんねぇから
つかマジだれ?」
「だから知らないって!アタシも急に渡されて驚いたんだし。
まぁ言える事はこれだけですな・・・」
「何?」
「阿部もてますなー!青春だね!青春!
うん・・・よかよか・・・!」
「お前今すぐ星に帰れ」
どうするべきだよ・・・?この弁当・・・。
食べたほうがいいのか?それとも食べないほうが・・・?
あーてか食ったあと弁当箱どーすんだ?
と思ったらそんな心配は不用だったらしい。
使い捨ての弁当箱だ・・・。
・・・・・・なんとも・・・用意のよろしいことで・・・。
じーっと弁当箱を見て考えていたら
ふいにから声がかかる。
「食べてやんなよ。
それ一応アンタのために作ってきたものみたいだしさ」
「・・・・・おー」
「よしっ!てなわけで任務完了!!
戦利品いただきまーす」
「おいっ!それ俺のパン!」
「ごちゃごちゃ言うな!!
このアタシがわざわざ苦労をかけたんだからさ!!」
「いやお前運んできただけだし」
「それでもアタシは苦労したの!!
いいからよこせぇぇぇっ!」
無理やりパンを一つ奪って自分の鞄の中に詰め込む。
作業はやいなコイツ!
慣れてんじゃねぇーの!?
そうして戦利品を入れ終わった鞄を満足そうに叩くと
花井の弁当箱から卵焼き
水谷の弁当箱からエビフライを取って
また満足そうにして篠岡と一緒に教室を出て行った。
食いすぎ!!!!!!
あいつ自分の弁当もあるだろ!?
どれだけ食う気だあの馬鹿!!!
「なぁ阿部〜・・・」
「あ?」
「今に他の女子からの弁当渡されてどーだった?」
「どーだったって・・・何がだよ。別に普通」
その後花井と目を合わせてため息をついた水谷を
なぜか殴り倒したくなったことはとりあえず黙っておこう・・・。
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